Archi Future 2017 展示会レポート

「Archi Future 2017」開催

2017年10月27日(金)、東京・有明のTFTホールにて「Archi Future 2017」が開催されました。

今年で節目となる第10回目を迎えたArchi Futureでしたが、昨年の来場者数を超え、今年も例年同様、設計事務所、ゼネコン、サブコンの皆さまに多数のご来場をいただきました。また、東京だけでなく、国内各地からの来場者も増えており、中には海外からの来場者も見受けられました。Archi FutureはBIMの最新情報発信をする展示会として広く認知されていることもあり、来場者の意識の高さを実感させていただきました。年々盛況さを増している本イベントですが、当社の展示ブースにも、多数のお客さまにお立ち寄りいただきました。


 

セミナー『設備工事会社にとって本当に効果的なBIM活用とは?』 ―技術者の価値を向上させるためのさまざまな取り組みの紹介―

当日は、レブロユーザーである三機工業株式会社 技術研究所 建築設備開発部 吉岡 誠記様によるセミナーが行われました。セミナー会場は200名を超す参加者で満席となり、設備工事におけるBIM活用の取り組みへの高い関心を実感することができました。

本セミナーでは、BIMデータや機器表などのデータベースと現場での記録をいかにして統合し、生産効率を高めていくかを目的としたBIM関連ツールやシステムの開発内容が主なテーマで、同社が現在実践している技術者の価値を向上させる取り組みから、中長期的な計画までをお話しいただきました。

具体的には、BIMを利用することで施工管理業務を効率化し、現場技術者の質的業務を向上させる一方で、量的業務を削減していくことを目標にするという内容です。
施工管理での写真撮影や日報作成など人的資源が消費されてしまう日常業務をBIM、クラウドサービス、タブレットを組み合わせることで削減可能になるとのことです。また、BIMデータへ複数の管理担当者がアクセスすることで情報の共有も可能になるとのお話しでした。


次に、同社が開発した、IoTやAIを組み込んだ新たな仮想情報システムの基盤であるクラウドサービス「エスクラウド」についてもご紹介がありました。
「エスクラウド」は、施工現場の業務効率化を支えるシステムとして、国内外のデータセンターに設置された高性能サーバー群がインターネット経由でAIからなる新たな情報通信システム基盤に接続されており、同社の事業領域全体にわたる情報通信システム基盤を、クラウドサービスによって国内外のあらゆる場所から快適に利用することができるもので、同社のICTプラットフォームの位置付けです。BIMや周辺のツールが浸透するにつれて、ツールの高度化やデータの肥大化が問題となるため、今後は、現場で安価なタブレットを使用し、エスクラウド上で高度な計算処理を行うようになるとのことでした。

実機でのデモンストレーションでは、タブレットから点群処理ソフトInfiPointsをクラウド上で操作する実演を行われていました。
3Dレーザースキャナーで計測した点群データを、即座にエスクラウドへアップロードし、エスクラウド上でモデリングする業務を検討しているとのことです。
タブレット上でノイズ処理や位置合わせを行い、出先でモデルデータの作成が可能になり、計測からモデル化までの期間を大幅に短縮することができフレキシブルな働き方が可能になるとのお話しでした。


そうしたお話しの中で、「レブロ」の活用や役割についてもご紹介をしていただきました。
レブロを活用することで、BIMモデル作成の効率化を図っているとのことで、既に実装済みの機能や今後開発予定の新機能についてご紹介いただきました。

一つは、すでに実装されている機器ライブラリの活用です。
レブロでは、機器および機器周りに付属するバルブや継手、計器類などの部材を、あらかじめ接続した状態で、ライブラリ登録しておくことができます。また、ルート検索の機能により、機器に接続する配管と同じ用途のメイン配管へ自動接続することが可能です。
これまでは機器を配置してから、接続する配管やダクト、それらに挿入する付属品を一つ一つ作図していましたが、ライブラリ登録した標準品一式を図面に配置し、メインルートへの接続も自動化することで、作図効率を大幅に向上したという事例をお話しいただきました。

二つめは、機器表の活用についてです。
機器表に記されたさまざまな情報をレブロに取り込むことで、属性情報を始めとした各種入力作業を自動化する可能性についてご紹介されていました。
また、機器表にある機器の台数や設置する部屋などの情報を、あらかじめゾーニングしたレブロのデータに連携することで、機器を自動で配置する機能の開発についてご紹介いただきました。これは、レブロの次期バージョンでの実装に向けて開発中の機能です。

BIMを活用することで実現できている点と今後のBIMに求めている点、またその中で同社がどう対応していくかを分かりやすくご説明されていたのが印象的でした。
また、今後の課題として、部材に登録された機器の性能情報を、配管やダクトの末端に入力する情報と連動させることや、各種計算書の作成まで繋げていくことを挙げられていました。


最後に、同社ではBIMで今ある業務の効率化を図ることが第一で、量的業務から質的業務にシフトできるよう技術開発を行っており、技術者の価値を高めていくことが目標とのことです。
また、BIMを施工だけではなく、お客さまへの引渡後もメンテナンス等で活用できるよう提案していきたいとのお話しでした。
今後、テクノロジーの高度化に伴い、それを人間が上手に利用することで、技術を高め、社会やお客さまに還元していきたいとのお話しで吉岡様は締め括られました。


テクニカルフォーラム『レブロのiPadアプリ対応と新機能開発』 ―機器表連携の可能性と現在の取り組みについて―

当日のテクニカルフォーラムでは、当社取締役 開発部 部長の小倉がiPadアプリの開発状況と開発中のレブロの新機能について発表を行いました。
会場は事前申込の段階で満席となっており、会場の外からご覧になられる方が出てしまう程、多数のお客さまにご聴講いただきました。

はじめに、Excelで作成した機器表とレブロの連携についてご紹介いたしました。Excelから機器情報をレブロの機器に反映させるだけでなく、レブロの機器情報を機器表に反映させることも可能です。また、レブロデータから発注表の出力を可能にする機能についてもご紹介しました。この機能は、ユーザーが使用されている書式に合わせて入出力できるよう開発しています。
また、あらかじめ部屋情報を付与した図面に、機器表を読み込むことで機器を自動で配置する機能や電気機器の負荷容量情報と分電盤表を相互に連携する機能もご紹介しました。

続いて、GRAPHISOFT社のBIMxと連携し、iPad上でレブロデータを閲覧できるツールの開発についてご紹介しました。現在開発中のアプリでは、躯体とスリーブ情報をリスト表示し、iPadで撮影した写真をモデルに関連付ける機能を実演しました。

次に、系統管理機能をご紹介しました。配管などに系統情報を設定することにより、バルブの影響範囲を色分け表示で見える化できるようになります。フロア毎や部屋毎などで系統情報を自動で仕分ける機能もあり、設備情報を可視化するツールとして活用できる機能です。

最後に、レブロで作成した設備モデルをRevitへ出力するレブロリンク新機能の開発状況をお知らせしました。レブロのモデルデータをRevitデータとして再現する手順をご紹介しています。新しいレブロリンクにより、レブロとRevitとの双方向でのデータ連携が可能となり、Revitをプラットフォームとした設備のBIMモデル作成に大きく貢献できるでしょう。


当社ブースの様子

当社ブースには、昨年以上に多くのお客さまにお立ち寄りいただきました。

 

テクニカルフォーラムで発表いたしました「機器表連携」、「Revit連携」、「BIMx連携」、「発注表出力」、「機器自動配置」、「系統管理」、「電気分電盤表」について、実機でご紹介しました。ブースでは、「今年の注目度No.1はレブロの新機能だ」というお声も頂戴したようで、新機能に対する来場者の期待の高さを実感しております。


あらためまして、テクニカルフォーラムにご参加いただいた皆さま、また、当社展示ブースにお立ち寄りいただきました皆さまには、厚く御礼を申し上げます。

ご来場、誠にありがとうございました。