レブロ活用事例

構造部材との干渉を避けた設備設計を実現

清水建設株式会社関東支店では、あるオフィスビルの建設プロジェクトで「事前に干渉を避けた設備計画」を行うことにより、 施工段階の設計変更や手戻りを大幅に削減することに成功しました。 プロジェクトを担当した関東支店生産支援部生産支援グループ長の藤咲雅巳氏に、 BIM による設備設計・施工の生産性向上の秘訣についてお話をうかがいました。

構造部材との干渉を事前に避けた設備計画

これまでの設計の流れは意匠、構造、設備の設計者が作成した図面を施工段階で重ね合わせて「総合図」を作り、干渉部分を発見して調整するのが一般的でした。そのため、施工段階に入ってから設計変更や作業の手戻りなどの無駄が発生する傾向がみられました。
そこで藤咲氏は、コンピューター上に構築した建物の3 次元モデルを使って設計するBIM の手法を用いて、小規模な事務所ビルの建設プロジェクトで「事前に干渉を避けた設備計画」を実現することを計画しました。その設備設計ソフトとして選んだのが、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)対応の建築設備専用CAD 「Rebro」(レブロ)でした。

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2010 年4 月に支店内の設計者や施工担当者、そして協力会社とともにプロジェクトチームを結成、設計が始まりました。工事の受注前に構造計算ソフトにて(仮)計算をし、そのデータからRevit Architecture にて構造モデルを作りました。
次に設備を計画していきます。構造モデルを「テンプレート」としてレブロに読み込み空調ダクトや給水・排水管、照明、ケーブルラックなどを配置していきました。 その目的は、構造フレームとの干渉を事前に避けるように設備を計画することでした。

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「設備設計で目指したのは、後で干渉を発見して対応する“ 結果型”の設計ではなく、 事前に干渉を避けて配管や空調ダクトなどのルートを計画する“ 造り込み型”の設計にすることでした。特に構造フレームとの干渉は致命的になりますから」と藤咲氏は説明します。
レブロには、梁や柱、床、壁といった建物の形状をBIM 用の「IFC 形式」や、 3 次元の「DWG 形式」、「DXF 形式」で読み込み、統合モデルを作る機能が搭載されています。 躯体と設備が干渉した場合には、3D モデル上に番号のついた「バルーン」が表示されるので干渉個所がすぐに発見できます。 つまり“ 造り込み型” の設計を行うためには最適なソフトなのです。

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設備設計こそBIMのメリットが生かせる

「設備設計こそBIMのメリットが最も生かせる分野でしょう。 というのも、ダクトや配管も継手、バルブなどの部材は規格化されているため、 BIMモデルが作りやすく、そして建物の用途や形状が変わっても使う部材は同じであるからです」と藤咲氏は説明します。
レブロには日本の設備工事で使われる配管やダクト、ケーブルラックなどの3次元部品が豊富にそろっており、 特殊な機器は独自の部品を作れます。 そのため、機械室などのモデリングも機器の形状や寸法を忠実に再現できるのです。 また、配管などのルート変更や厳密な勾配の設定、 ダンパと継手の重なりを防止する「禁則処理」など使いやすい機能が用意されているため、効率的にモデリングが行えます。

建物の構造部材と設備部材は、コストに大きく影響する要素です。 これらをプロジェクトの初期段階でしっかり計画しておくことで、 初期段階から建物のコストも高い精度で見積もることができ、施主への技術提案も説得力のあるものになります。
「レブロを使って設備モデルから角ダクトの㎡数、配管の長さ、機器の数量などを自動的に拾い集計しました。設備の設計と同時に積算の資料ができるので、工事の原価計算はとても楽でした」(藤咲氏)。
工事の受注が決まった後は、さらに詳細な設計へと進んで行きました。意匠、構造、設備のBIMモデルと、他のメーカーが据え付けを担当する機器の3次元モデルをNavisworksで一つにまとめて「BIM総合図」を作り、干渉がないかも確認できます。
その後、設備設計は実施設計段階に入り、より詳細な設備BIMモデルへと設計情報が付け加えられていきました。例えば、配管やダクトを設置するための“ブドウ棚”の吊りボルトやステーなどを避けて細かい位置調整を 行ったり、天井板やタイルの目地に合わせて照明器具の位置を決めたりといった作業です。
「これまでは、設計変更に備えて吊りボルトや、構造部材の貫通穴を多めに設置しておくこともありました。逆に吊りボルトの位置がどうしても足りなくなり、コンクリートの打設後にアンカーボルトを打ち込むこともありました。 これらは品質の不具合やコストアップにつながりますので、事前に解決しておくべきでしょう」と藤咲氏は語ります。

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日本で開発された設備専用CADの強み

 藤咲氏はBIMツールを選ぶ際に強い信念を持っています。それは「道具を選んでからやることを決める」のではなく、「やることを決めて道具を選ぶ」ということです。前者の場合、「やること」が「やれること」に変わってしまい、本来、目指しているBIM活用の目的から外れてしまうことがあるからです。
今回のプロジェクトにおける設備設計の目的は、企画・基本設計段階から構造部材との干渉を避け、 積算検証をしながらの「造り込み型設計」を行うことで、従来の「結果型設計」から脱却することでした。
その目的を果たすため、藤咲氏がレブロを選んだ理由の一つは、日本で開発された設備専用CADのため、日本の設備工事によく合っていたからです。 また設備CADとしてはIFC形式のデータ書き出し機能を先行して搭載していることもありました。
これまでのワークフローと違った「造り込み型設計」を行っていると、ソフトの機能として新たに盛り込んでほしいものも出てきます。 こんなときには開発元のNYKシステムズの技術者がスピーディーに対応したことも、レブロに対する信頼を高める結果となりました。

受注・設計編/施工・保全編PDFファイル(2.0MB)

CORPORATE PROFILE

清水建設株式会社

本社 東京都中央区京橋二丁目16番1号
代表者 代表取締役社長 井上 和幸
設立 1804年(文化元年)
資本金 743.65億円
従業員数 10,751人 2016年4月1日現在
事業概要 建築・土木等建設工事の請負(総合建設業)