『実践ソリューションフェア2015大阪』セミナーレポート
『実践ソリューションフェア2015大阪』セミナー
2015年2月18日(水)~19日(木)の2日間、株式会社大塚商会様が主催する実践ソリューションフェア2015大阪が大阪国際会議場(グランキューブ大阪)で開催され、当社も参加いたしました。
開催初日の18日には、レブロユーザーである株式会社竹中工務店 大阪本店設計部 プロダクト2グループ(設備施工G) 端野篤隆様による『「想いをかたちに未来へつなぐ」竹中工務店の設備系BIM』と題したセミナーが行われました。
セミナー会場は140名を超す参加者で満席となり、竹中工務店様のBIMへの取り組みに対する関心の高さが窺えます。
気になる講演内容ですが、「BIMって何?」から始まり、同社の「BIM社内体制」、「設備BIM取組事例」、「参考事例」と進み、 「まとめ」のお話しの後に「生産ラインの格段に速い完成を実現するTAKENAKA 3D Objects CAD」のDVDによるご紹介がありました。
「BIMって何?」の部分では、BIMという言葉は耳にしたことはあっても、 具体的にどういうもので、取り組むとどういうメリットがあるのかという点をわかりやすくご説明されていました。 端野様のお話しによると、BIMは「お客様をはじめとするすべてのプロジェクト関係者に、情報共有の仕組み作りを可能にするもの」とのことでした。 従来の2次元図面では、読み取りが困難なことで起きる調整漏れや見落としの発生など多くの課題があり、 工事中の手戻りやスケジュールの遅れを発生させる要因となっていましたが、BIMを活用することで、これらの課題を解決し、計画の早期確定と高品質な建物の提供が実現可能になるという内容です。
BIMを活用して、設計情報と属性情報を統合した情報共有の仕組みを作ることで、まず業務効率の向上が期待されます。 また、設計の可視化やフロントローディング、データ運営の一元化により、お客様の早期方針決定や業務平準化、将来へのサポートも実現可能とのことでした。
従来の2次元図面の課題と3次元図面のメリットを相対的に比較しながらご説明されていましたので、受講者にとっては、とてもわかりやすく理解が深まる内容であったと感じました。
続いて同社の「BIM社内体制」についてのご紹介がありました。同社では、社長方針としてBIMの人材レベル底上げを掲げ、 BIMを活用できる人材を増やしていくことを重要視して、BIMの実績作りや人材強化に取り組んでいます。組織としても、 BIMチームやBIM推進室を編成・設置するのではなく、組織全体で各自が取り組んでいることが特徴とお話しされていました。
社内で活用している3DCADソフトとして、意匠がArchiCAD、構造がTEKLA、設備がレブロ、重ね合わせソフトがSolibri Model Checkerとの紹介がありました。作業所にはIFCでデータを渡しているとのことです。
ここで、セミナータイトルに「設備系BIM」とあることから、同社が設備のメインツールとして採用しているレブロについて、詳しくご紹介をしていただきました。 レブロは、平面・断面・アイソメが連動した同時修正が可能であり、図面の修正を省力化できること、 コメント記入でデータ上の質疑応答ができるため、関係者のコミュニケーションが容易に図れること、 3D空間の切り出しを自由に行えるため、さまざまな検証が行えること、IFCの読み込みスピードが他のCADと比較して速いこと、 技術計算や自動拾い出し機能がExcelで出力可能なこと、そして教育・サポート体制がとても優れていることといった数々のお褒めの言葉をいただきました。
その次の「設備BIM取組事例」では、冒頭にBIMに取り組むにあたって大事なこととして、成果物の確認とスケジュール管理の2つを挙げて、ご説明がありました。 成果物の確認については、何をどこまで作りこむのか、関係者間での目線合わせが重要で 、その詳細度を決めるためにLOD(Level Of Development)が指標になるだろうとのこと。 また、スケジュール管理については、初期の企画段階で意匠・構造・設備のBIM方針決定し、 相互に重要度の高い課題は事前に把握しておくことが大事とお話しされました。従来の2次元図面では、設備専門家でないお客様や建築関係者に意図を伝えることが難しく、 納まりの調整に多大な労力と時間を費やしていることを課題として挙げられ、 レブロの3Dを活用することによって、設備をビジュアル化して状況がよりわかりやすくなり、 画面で説明しながらその場で調整できるため、これまでの2次元図面の課題をクリアできるとのお話しでした。 また、設備の主要な納まり情報は、建築担当者にとって重要な情報の一つであり、 事前に把握することで前倒しの検討が可能となり、手戻り防止にもつながります。 その先には、解析ソフトの展開活用や自動拾い出し機能を活用した複数案からの最適な設備設計プラン検証への期待もあるとのことです。
そして、レブロの設計モード、施工モードを利用した設計図から施工図への連携事例もご紹介いただきました。 設計段階でルートの整合性を確認しておくだけでも、業務効率向上に有用であるとの内容でした。 また、レブロの建築機能を利用すれば、仕上図や構造図の施工図がたとえ2次元図面であっても、 設備の施工図で3次元を作り込むことが可能で、実際に13000㎡程度の躯体図を約3時間でトレースして作図し、 施工検討に活用できたとの実例をご紹介いただきました。 建築が3D対応していなくても、レブロだけで3D対応が可能との内容でした。次に施設保全の活用事例として、 レブロのハイパーリンク機能を使ったデータ管理についてもお話しいただき、 これまでは探すことにも苦労していた書類で管理していた各種の情報を、 モデルデータに完成図や取扱説明書などの保全情報とリンクすることで情報共有を容易にし、 FM領域でもBIM活用の期待ができるとの内容でした。この他、3Dスキャナ活用による建物耐震評価・設備リニューアル診断・建物修繕企画などへの活用の期待についてもご紹介がありました。
「参考事例」では、レブロの自動拾い出し機能について、BIM対応積算ソフトとの連携の期待や、レブロとArchiCADでのオブジェクトの移動や修正における互換性・動作環境の検証について、ご紹介がありました。
「まとめ」として、レブロを活用したBIMにより、設計初期段階から、お客様を含めプロジェクト関係者で完成イメージを共有できる。 従来は工事段階で発生していた調整業務を、設計段階にフロントローディングすることで、全工程を通じてお客様の業務量を平準化できる。 作成したデータを活用し、将来は改修や機器の更新の企画検討、修繕履歴管理の活用など、 お客様を将来にわたって強力にサポートすることが期待できるとお話しいただき、最後に「生産ラインの格段に速い完成を実現するTAKENAKA 3D Objects CAD」の動画紹介で、セミナーの締めくくりとなりました。
セミナー全体を通して、同社がBIMに取り組む理由とそのメリットについて、わかりやすくご解説いただきました。レブロがその一翼を担う存在になれるよう、これからも進化を続けたいと感じています。
セミナー終了後に複数の参加者の方から、レブロについてのご質問やご相談をいただき、個別にお話しをする機会ができました。 実務レベルのご質問はもちろん、後日個別にレブロを見せて欲しいというご要望もいただき、お客様の関心度の高さを感じることができました。 当社にとっても非常に有意義なセミナーであったと実感しています。
お忙しい中、セミナーにご参加いただきました皆さま、個別にご相談いただきましたお客様には、心より感謝を申し上げます。誠にありがとうございました。