竹中工務店 端野様 講演会 レポート
竹中工務店 端野様 講演会
2016年6月10日(金)、株式会社大塚商会 関西支社にて「設備工事会社におけるBIMの使い方[第一回]」が開催されました。
今回のセミナーではレブロユーザーである株式会社竹中工務店 大阪本店設計部 プロダクト部門(設備)課長 端野 篤隆 様による「竹中工務店における設備BIM~設計と施工における取り組み」と題した講演会が行われました。130名の方が参加されていた講演会ですが、内容は「BIMって何?」から始まり、「体制づくり」、「設計段階の進め方」、「施工段階の進め方」と進み「まとめ」という構成でした。
まず、「BIMって何?」の部分ではBIMの基本的な説明から始まり、活用法やどのようなメリットがあるかなどをわかりやすくご説明されていました。端野様のお話しによると、BIMのメリットとして設計の可視化、データの一元化、調整業務の整合性の3つを挙げられていました。BIMを用いるための教育の重要性にも触れていて、同社の社内教育制度を紹介されていました。またIFCファイルにも言及されていて、設備IFC利用標準の活用についてもお話しされていました。
次に「体制づくり」ということで、BIMを推進していく上で、どのような体制を作ればよいのかという説明と、同社の社内体制の紹介をされていました。端野様のお話では、体制作りで重要なポイントは積極的な情報交換を行うこと、設備BIMの目的を共有すること、BIMソフトを整備することの3つを挙げられ、それぞれのポイントについて、同社での取り組みを紹介されていました。
情報交換においては、プロジェクトごとに部署間の連携で、指標を用いた取り組み項目の設定を行っているとのことでした。また、BIMソフトについては、意匠はArchiCAD、構造はTEKLA、設備がRebro、重ね合わせはSolibri Model Checkerを使用し、作業所へはIFCでデータを渡しているとの紹介もありました。
続いて、「設計段階の進め方」として、設計段階でどのようにBIMを運用していくかを説明されていました。何をどこまで作りこむか、成果物・スケジュールの確認と、企画段階からBIMの方針を設定することが大切だとのことでした。
また、建築BIMデータを設備BIMに活用し、初期段階での設備のシステム計算に利用することや、主要な設備の納まり情報を関係者で共有するなど、設計施工一貫でのデータの有用性についてもお話しされていました。図面の重ね合わせについても、干渉箇所の可視化を用いた社内での活用方法や事例の紹介、課題についてお話しされていました。
「施工段階の進め方」では、施工段階でのBIM活用について説明されていました。施工段階では、BIMをどのレベルで実施するか、高性能なPCの用意、施工図に必要な情報の要求、そして、データ統合を目的としたデータを作ることが重要だとお話しされていました。
BIMの活用方法については、いくつか例を挙げられていて、設備施工図でのBIM活用の例として、施工前に干渉を見つけ対策を講じることで生産性が向上すること、現場作業をフロントローディングすることで、品質向上やコスト削減、安全性の向上が見込めるというものでした。また、積算見積ソフトを使い、数量の把握と材料発注に役立てることで、超過発注を防ぐこともできるとお話しされていました。FM領域に向けたデータ活用の例も挙げられ、レブロのハイパーリンクの機能を用いて完成図書や取扱説明書など、保全情報をモデルデータにリンクさせることで、情報共有を容易にできると紹介されていました。その他に、既存改修におけるBIM関連ツールの活用の紹介もあり、3Dスキャナーを用いた免震計画予定の建物の現地調査、文化財保存の検討、リニューアル施工計画の検討といった活用に期待ができるとの紹介がありました。
「まとめ」として、設備BIMを進めていく上で、関係者間の情報共有が一番大切だということ、そして、「実務レベルではまだ発展途上だが、設備業界のソフトウェアの開発及び進化により、設備BIM活用はより加速していく」という端野様の考えを述べられ講演会は閉演いたしました。
セミナーを通して、同社でのBIMの活用とそのメリットについて、詳しく解説していただきました。端野様のお話にありましたが、設備BIM活用を活発にするために、弊社もより良いソフトウェアを提供できるよう開発を続けていきたいと考えております。