Archi Future 2024 展示会レポート
「Archi Future 2024」開催
2024年10月24日(木)、東京・有明のTFTホールにて「Archi Future 2024」が開催されました。第17回目となる今回も、昨年に引き続きリアルのみの開催となり、出展社は37社、セミナーの講座数は1会場で6講座、講演会の講座数は1会場で4講座、テクニカルフォーラムは4会場にて合計30講座と、過去最大級のスケールで開催されました。来場者については、6,525人(前年比109.7%)と昨年度よりも多くの方がご来場され、建築の新しい方向性と明るい未来を感じさせてくれる内容となっておりました。
当社も現行バージョンのRebro2024の製品出展と、来春リリース予定のRebro2025を発表し、多くのお客さまにブースへご来場いただきました。
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三建設備工業株式会社様 事例レポート
「Archi Future 2024」にて、三建設備工業株式会社様のレブロ活用事例レポートを公開いたしました。レブロのCSV出力機能を活用した現場の生産性の向上についてお話し頂いております。
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【S-6】『社内の各部門、協力業者が共有するBIMを基盤としたデータベースの構築と活用』
―施工進捗情報などさまざまなデータへの容易なアクセスによる省力化・省人化の実現―
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日比 俊介 氏 [三建設備工業 DX推進本部 DX推進部 主査]
当セミナーは空気調和設備や給排水衛生設備の設計・施工・メンテナンスを主な事業とする、三建設備工業のDX推進部主査である日比 俊介氏に実際に現場にて相対した問題に対して、BIMを活用した生産性の向上の実践的な取り組みについて紹介いただきました。
まず同社の課題の一例として、各個人の「暗黙知」の差によるコミュニケーションの課題について触れました。資材発注の際に1つの資材の型式の呼び方についての新人とベテランの認識相違から、納品ミスや手配ミスが発生しており、この問題を解決する為、同社ではレブロのデータをCSV形式でシステムに入れ、希望日を設定することで、施工現場のエリアごとの資材をいつ納品したいと代理店に発注するアクションが行われるようにしていると述べました。レブロでは、図面作成時に特定の条件に基づいて定義付けできる仕組みがあり、代理店の取扱いコードが裏で紐づくため、これまでの曖昧な表現の文字での発注と違い、代理店側が新人の方でも迷うことなく発注することが可能になったと、システム構築のメリットについて語りました。
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次に施工の進捗の見える化の活用メリットについても紹介しました。現場の施工状況を業者や作業員が誰でも見られる環境を作り、その上で協力業者や社員など、それぞれの立場でどのような情報をどう見たいのかによって見せ方を変え、例えば、同現場の設備工事会社向けには配管の施工状況を共有し、次工程の自分たちはいつからそのエリアに入って仕事ができるのかといった情報を、新入社員は協力業者との打ち合わせにおいて、数値に基づいて工程を進めることができるようになったと述べました。
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生産性の向上のためにレブロをベースとして日比氏が実際に社内で作成したシステムは、レブロから出力したデータを循環し、各工程で活用する仕組みを作るツールとして、MicrosoftのPower QueryやPower Automateなどのツールを用いたシステム構築となっており、人の手が介在せず、半自動的に実行できるように組み上げて、現場への負担が大きくそもそも使用しなくなってしまうという点に対してリスクヘッジしたうえで導入しているようでした。α版・β版と社内の状況に合ったシステム構築を行い、1年ほど前から全国の現場に展開していると社内展開の背景を語りました。
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当社が普段から提唱している、レブロを利用した業務効率化を実際に取り組まれている事例を共有する場として、貴重な機会でした。会場には、このような取り組みに関心のある方が非常に多く、定員220名の会場は満席となり、立ち見で聴講された方も出るほど好評いただきました。
テクニカルフォーラム①
【C-5】『Rebroの軌跡と開発中の最新機能』
―ユーザーの支持を得て18年。設備BIMソフトのデファクトスタンダードへ―
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小倉 哲哉 [NYKシステムズ 取締役 開発部 部長]
テクニカルフォーラムにて当社取締役 開発部 部長の小倉が大きく下記2点に分けて紹介しました。
・実装予定の新機能紹介
・アドイン連携機能
実装予定の新機能紹介
「技術計算」
ダクト圧力損失計算および配管抵抗値計算における複数系統の一括管理機能を実装予定です。本機能強化により、複数の系統を一括で追加し、一覧での管理が可能となりました。ルート上の一か所を指定するだけで、機器器具までのすべてのルートが自動的にリストアップされ、最大全圧・最遠端・最大風量・最大風速のルートが表示されます。また、データ管理の利便性も向上し、必要なルートを選択してExcelへの出力が可能となります。
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「排煙計算」
Rebro2024で追加した排煙ダクトの圧力損失計算・サイジング機能に加え、Rebro2025では排煙口の選定機能・一括配置機能を実装予定です。図面上に部屋情報が登録されていれば、自動的に部屋の名前と面積を取得し、必要な排煙風量を算出します。この情報を基に、排煙口の自動配置が可能となります。風速などの条件変更時には「再選定」ボタンで簡単に排煙ダクトのサイズを変更できます。また、計算結果についてはExcel帳票出力にも対応予定です。
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「部屋諸元」
Rebro2024で実装した部屋諸元機能は部屋ごとにフロア名・諸元情報を登録することができ、その情報をリスト表示・出力することができます。Rebro2025ではExcelから諸元情報の入出力・参照が可能になるほか、他のセルの値を使用して計算式・条件式を設定できるようになります。図面上のリンク文字・部屋のプロパティから取得した床面積・天井高さなどの情報を利用し、換気風量の計算結果を出力する事も可能です。また、部屋に配置された機器とも連動しており、機器の台数を部屋諸元パネルから変更すると、モデル内の機器数も変更されます。
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「梁下の確認」
梁に「梁下の距離」というプロパティを設け、天井面、もしくは部屋スペースの天端までの垂直距離を表示できるようになります。プロパティとして扱うため、系統管理機能を使用することで梁下の距離別に色分け表示が可能となり、ルートの検討が行いやすくなります。
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「盤の管理・配線管理」
盤と幹線の繋がりを登録し、図面の情報より負荷容量を集計する「盤の管理」機能と、ラックに敷設する配線やケーブルを設定し、図面に作図せずに拾い集計に反映できる「配線管理」機能の連携を強化します。これらは別々の機能として実装しておりますが、Rebro2025では系統の分岐を配線管理で表現することで、分岐ごとの亘長や負荷容量を求められるよう開発中です。算出したデータはExcel形式で出力可能なため、幹線サイズ計算ツールなどに読み込ませ、ツールで計算された幹線サイズや材料をレブロに取り込むような連携が可能となる予定です。また、レブロのデータリンクにて盤情報を出力できる機能が実装されていますが、Rebro2025では日本電設工業協会様が公開された盤リストの標準書式で盤情報が出力できるようになります。
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アドイン連携機能
「SPIDERPLUS 連携強化」
スパイダープラス株式会社様のSPIDERPLUSとは各種測定機能との連携が可能ですが、今後SPIDERPLUSの「S+BIM」での色塗り情報をレブロから直接参照できるよう開発中です。現場の進捗を図面と照らし合わせて確認ができるようになります。
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「施工管理アプリANDPADとの連携」
株式会社アンドパッド様のANDPADとの連携をRebro2025で実装予定です。レブロから制気口の位置や風量の情報を出力し、ANDPADで風量測定が可能となります。
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「InfiPoints連携の強化」
Rebro2024では株式会社エリジオン様のInfiPointsを経由し、点群データをオルソ画像や配管・ダクト・鋼材としてレブロ部材に変換して扱うことが可能です。Rebro2025では、InfiPointsで軽量化した点群データを直接レブロのCG上で参照できるようになります。レブロで開いた点群データでは点群同士の距離測定が可能なほか、点群とレブロ上のモデルとの距離測定も可能です。通常のCGと同様に、点群データでもモデルをカットして断面表示ができます。撤去する設備を削除し新設するモデルを書き足せば、リニューアル工事にも対応できます。
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「REVITファミリのRebro利用」
Revitのファミリをレブロのユーザー部材への変換に対応予定です。余分な形状(ジオメトリ)を消去する設定も実装予定です。変換したユーザー部材を使用すれば、レブロで描いた設備モデルをRevit形式に変換しても、指定されたRevitのファミリで出力することができます。
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「MEL-BIM連携の強化」
三菱電機株式会社様のMEL-BIMとの連携機能を強化します。現状MEL-BIMで選定した機器をレブロ上に自動配置することができますが、Rebro2025では冷媒管のサイズ選定にも対応する予定です。
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当日は定員100名に対し、倍近い196名のお客さまにご聴講いただきました。会場は立ち見でも一杯になるほど、レブロに対する関心・期待の高さがうかがえるテクニカルフォーラムとなりました。ご聴講されたお客さま、狭い会場の中ご聴講いただきありがとうございました。今回お伝えしたRebro2025における機能アップはごく一部であり、他にも多くの機能改良を実装する予定です。今後も当サイトや展示会を通じて新情報を発信してまいりますので、詳細については続報をお待ちください。
テクニカルフォーラム②
【C-6】『共通データ環境(CDE)を基盤としたプロジェクト情報の管理』
―Rebroプラットフォームの可能性―
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清水 寛人 [NYKシステムズ 営業部 グループ長]
当社営業部 グループ長の清水より、『共通データ環境(CDE)を基盤としたプロジェクト情報の管理―Rebroプラットフォームの可能性―』をテーマに発表しました。BIM化が加速していく中で重要性を増しているCDEについて、レブロがどのように貢献を目指していくのか、今後の展望をご説明しました。
RebroのCDE対応 今までとこれから
CDE(Common Data Environment)とは、プロジェクトに関わる情報を一か所で管理し、関係者間でのコミュニケーションを円滑に行うためのプラットフォームを指します。建設プロジェクトの複雑化と分業化が進む中で、情報の一元管理と円滑な共有が課題となっていますが、これらの問題を解決する手段としてCDEが注目されています。特に、多数の関係者が参加し、膨大なデータを扱う大規模プロジェクトではCDE導入の効果が顕著に表れており、リアルタイムに情報を共有することで意思決定の迅速化や手戻りの削減ができます。さらにBIMデータを連携させることで、設計から施工、運用ステージまで一貫したデータ活用が可能となり、生産性向上が期待できます。このように、CDEは現代の建設業に不可欠な基盤技術として、今後ますます重要性を増していくと当社は考えています。
レブロはこれまでもCDE対応を意識した開発を行ってきました。各種クラウドストレージサービスとの連携をはじめ、「レブロからクラウドストレージへの直接接続」「外部参照機能による共同編集」「図面を通じたコミュニケーション機能」「利用しやすい属性情報の入出力」などの機能を実装してきました。
また、今後のバージョンアップで実装予定の機能として、「Dropboxの対応」、「外部参照ファイルの読み込み方法の追加」、「ファイルIDを用いた外部参照」、「CSVデータで外部出力時の属性情報の項目制御」を発表しました。これからもCDEと親和性の高い機能を開発・リリースしていく予定です。
Rebro CDE Toolsの発表
新製品「Rebro CDE Tools」の開発について発表しました。一部のユーザーでは上記機能を組み合わせ、自社のCDEの中にレブロを組み込んだ業務効率化の取り組みをされておりますが、技術的なハードル・時間や資金のリソースといったハードルがありました。そこで当社はこうしたハードルを下げるべく、「Rebro CDE Tools」と題したCDE開発をプロジェクトとしてスタートさせました。CDEに求められる要件を満たしつつ、iOSやAndroid、WEBブラウザなどからレブロデータへアクセスが可能な仕様で開発を行う予定です。レブロデータへ場所を選ばずアクセスができるようになり、レブロを持たないステークホルダーにも簡単に情報共有が可能となります。また、レブロデータの属性情報を利用できるAPIの提供を予定し、外部接続性を向上させます。ユーザーやソフトベンダー側でレブロと連携したアプリケーションの開発が可能となり、レブロデータの活用がより広まっていくことが期待されます。
その他、「Rebro CDE Tools」をベースに、サーバーやストレージなどをパッケージ化した商品の提供なども検討中です。BIM実施に際して推奨される情報管理の考え方や方法の国際規格でもある、ISO19650も意識しています。「Rebro CDE Tools」の詳細については今後も当サイトや展示会を通じて発表予定です。
こちらのセミナーも立ち見が出るほどの盛況ぶりで定員100名に対し167名のお客さまにご聴講いただきました。CDEという考え方や、レブロへの期待が広まっていることがうかがえる講演となりました。
当社ブースの様子
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当社ブースでは、来春リリース予定の「Rebro2025」にて実装予定の各種機能、「梁貫通機能の強化」や「点群ソフトとの連携強化」、「部屋諸元機能の強化」などを主に紹介しました。ブースに足を運んでいただいたお客さまからはRebro2025にて実装予定の機能・変更点・機能追加、今回のアップデートで一番の見どころはどこかなど、たくさんのご質問をいただき、今後のアップデートに向けて非常に期待されていることを肌で感じました。
また終日ブースは超満員となっており、レブロならびにBIMへの関心の高さがうかがえる一日となりました。
最後に、当社テクニカルフォーラムをご聴講いただいた皆さま、当社展示ブースへお立ち寄りいただいた皆さまに、改めて厚く御礼を申し上げます。
次回は建設DX展 東京(外部サイト)に出展を予定しております。
レブロの最新情報ならびに出展等の情報は、当社ニュースメールより配信いたしますので、ぜひご登録ください。