レブロ活用事例

3D統合設計施工プロジェクトを支援して3次元建築設備CAD「Rebro(レブロ)」を駆使
体感したフロントローディングの効果

設備業界にも普及が加速しているBIMだが、設備設計の段階からも活用が本格化しつつある。 設計分野でのBIM活用の新たな流れを牽引する企業の1社が、東京都渋谷区にある一級建築士事務所百音設計である。 基本設計から竣工まで、建築設備に関わる図面すべてを扱う同社では、早くからBIMの研究と活用を推進。 蓄積したノウハウを生かし独自の企業戦略も打ち出している。 建築設備専用CADレブロをフル活用したその新たな展開について、同社の伊藤春美社長ら3氏に伺った。

現場運用できるBIMを目指して

「設計事務所としての当社の特徴は、まず基本設計から竣工まで、建築に関わるすべての図面をトータルに任され、製作しているということ。 そして、もう一つは特に医薬品、医療分野に力を入れている点です」。そう語るのは、この技術者集団を率いる設備設計一級建築士の伊藤春美氏である。 同氏によれば、百音設計の受注の約7割がこの医薬品・医療分野で占められているという。 もちろんこれは、同社の営業戦略に基づく展開だ。 5~10年先の時代とそのニーズを見据え、将来性豊かな市場として、この分野へ注力しているのである。 そんな同社の最新の取り組みのひとつが、顧客である建築系エンジニアリング企業の千代田テクノエース(株)が進める「3D統合設計施工プロジェクト」への支援協力だ。 その指揮を執る専務取締役の浜口氏は語る。

「これは、3Dによる設計施工の統合化を実案件に適用していこうという計画です。 当社は、技術パートナーとして3D技術を提供。現場運用できるBIMを目指し、共に検証しながら実物件を進めています。
 浜口氏がいう取り組みとは、2012年4月に既存内装の撤去から始まった茨城県某所の約2万㎡の医薬品製造工場の改修計画だ。 これは、既存の研究施設建屋をスケルトン化して行う大規模な改修工事である。 改修とはいえ、計画段階から複雑な天井内設備の点検メンテナンス動線の確保や、医薬品製造プロセスに伴う生産機器・設備機器配置の最適化が求められるなど、難度の高い工事だった。

「工場といってもほぼクリーンルームです。 既存構造の関係より1階と4階は機械室とし、2階、3階のクリーン製造エリア用となる設備機器をここに集約した特殊な構造となりました。 クリーンエリアでは、点検口を設けられないなど保守作業者にとって厳しい環境となってしまうため、少しでも楽に保守作業を行える環境にしたいと考えたのです。 しかも設計期間が大変厳しかったので、設計環境の効率化が非常に重要な課題となりました。 そして、この課題解決のカギとなるBIMソフト選定を通じて出会ったのが、レブロだったのです」(浜口氏)。

03_b
04

初めて触れたレブロの大きな導入効果

「当社の建築設備グループでは、10年前から2D図面のビジュアル化による建設プロセスへの実効性を検証しながら、実施図面の3次元化を積極的に取り入れてきました」(伊藤氏)。 百音設計では、これまで他社の設備CADを使っていたが、前述の通りBIMソフトの最新機能を活用しながら、難度の高い設備設計を効率よく行うため、新たにツールを選定したのである。
「慎重な検討の末、プラットフォームにはArchiCADを、設備設計には、これまで利用してきた設備CADの他に新たにレブロを導入し、連携させて進めることになりました。 レブロを選んだ理由の一つは、BIMに関わる新機能をより早く開発搭載するCADだったからです。 当社では、データ連携について、3Dモデルの統合を社内検証していたため、この機能をいち早く試せるレブロを使いたかったのです」(浜口氏)。 浜口氏によれば、同社が推進するプロジェクトに適合するBIMソフトとしての機能性と今後への期待感の高さから、レブロ導入を決定したのだ。
 実際のレブロの運用は、まず生産機器や機械設備機器等の3Dモデルを作成し、建築3Dモデルに統合の上、意匠・構造・機械・生産設備の複雑な納まりを検討した。 細かくモデル断面を生成して確認し、さらにセクションごとに検討ポイントを洗いだして、問題点をクリアしていった。 同社は、これを設計段階から行った。当然、同社スタッフにとって、初めて触れるCADであったが、導入はスムーズに進み、予想以上の効果が発揮された。 例えば、ArchiCADとレブロの連携が良く、スムーズに設備/建築のデータ受け渡しができたという。 また、設備/建築間の取り合い検討も、レブロの断面図作成機能で可視化した統合図をリアルタイムに確認し、問題箇所をいち早く共有。 さらに、施工図作成段階で行っていた各施工担当との取り合い調整も、3Dモデルの統合により実施設計段階で設計者・施工者が共有することで、大きな効率化が実現された。 実作業を担当した奈良氏は語る。
「私もレブロは初めてでしたが、1度講習を受けてから2日ほど自分で触るうちに基本操作は把握できました。 非常に直感的なCADですね。そこですぐ実務に投入したのですが、やはり常時3Dモデルと連動して作図できる強みは非常に大きいと感じました。 従来は図面を1カ所修正するのにも、平面と断面は別々に直していましたが、レブロは1カ所直せばすべて直る。断然早いしミスもありません」。 奈良氏によると、納まり検討や修正に掛かる時間は、これまでと比較して1~2割は減少した実感を得ているという。 また、時間短縮された分、レブロの機能を活用してチャレンジしたいことが実践でき、モデルに手を加える時間も増したため、モデル自体の品質も向上。 現場でも、レブロで作成した3Dモデルによる3Dセッションを多用することで、設計思想や複雑なメンテナンス動線計画をスムーズかつ的確に伝達でき、非常に効果的だったという。
「医薬品の工場では、メンテナンス動線が重視され、施主も一緒に検討することが多いのです。 今回も天井裏にメンテナンス動線を張り巡らせたため、現場での3D統合設計施工プロジェクトでは“配管などを何回くぐって歩くか”までチェックされました。 また、機器の形状までリアルに表現するレブロのモデルがとても好評で、現場管理者の理解も早くて助かりました。 綺麗な絵をお見せすると質が落せなくなるので、後が大変になるのですが(笑)。 ただし、BIMを意識するならば、綺麗に見せる必要があると捉えています」(浜口氏)。

05_b
06_b
07_b

BIM活用でさらなる効率化と品質向上へ

このように、工事はさまざまなBIM活用の試行を折り込みながら進み、2014年8月に竣工を迎えたが、かなりの「綱渡り」でもあった。 実は、プロジェクト途中で、施主の事業計画に伴う計画変更があり、スケルトン化完了後から本施工の着工までが、最終的に半年以上も先送りとなり空白期間となったのである。 ――裏を返せば、着工遅れの取り戻しも求められ、詳細計画を変更も含めながら、短期かつタイムリーに実行しなければならなかったのである。
「着工を遅らせることが決まったのは、現場事務所も完成し、現場に乗り込む直前のことで、 施工業者も決まった後だったのですが、再着工までの期間には、施工ベースの3Dに着手ができず大変でした。 約半年待って急遽再スタートとなったのですが、施工を見据えた3D設計を行っていたことが、大きな助けとなりました。 3D設計から施工3Dへの移行は、計画変更も含めながら短期間で行え、再スタートの弊害となった施工の立ち上りの遅れを見事に取り戻し、予定通りに竣工したわけです。 まさに、BIMで前倒しして進めていたおかげで、フロントローディングの効果が発揮され、工期短縮に貢献できたのです」(浜口氏)。
特に施工段階では、計画段階から懸念されていた天井内の納まり検討配管架台の鋼材や吊ボルトの振れ止めの入力など、 細部までモデル化した図面で各社取り合い検討を行い、手戻りを最小限に抑えることができたという。

08_b 09_b

 「ここ近年においては、CADデータのコンバージョンの進歩に伴い、初期段階で作成したマスターデータを流用できることで、 プロセス毎の活用手法もかなり広がりました。例えば、設計段階において作成したBIMモデルが詳細設計を経て、 施工から竣工、維持管理までの共通データとして活用できることで、建設プロセスに直接的な価値を残せると考えています。 専門分野をターゲットとしたソフトウェアは、大手のユーザー企業色が濃くなって、本来のユーザビリティとは違う意味で広がっていくイメージがありますが、 エンドユーザーの立場から見ると、機能の良さやBIM推進の手助けとなる高い連携性能と使いやすさを備えたCADが求められていると思います。 そして、保守・サポート体制とコストパフォーマンスも重要です。 レブロはそういった要件を満たしているCADだと感じています」(浜口氏)。
このように、レブロの活用により『設計から施工につながるBIM』への確かな手応えを得た百音設計では、すでにBIMの活用を核とする新たな戦略への展開を開始している。 浜口氏は、「当社では、設計段階から施工のノウハウをプラスした図面作成に取り組んでいます。 社員教育として、現場見学会を実施し、施工の納まりを学んでいるのです。 ゼネコンや設計事務所と取引していますが、お客様にとって何が一番良いのかを考え、より良い提案をしていく方針です。 また、今後BIMに取り組む上で、独自のガイドラインを作成することが重要だと感じています」と話す。
伊藤社長は、「今後も医薬品工場を中心にこの分野で実績を重ね、着実にノウハウを蓄積しながら、より一層の時間短縮と品質向上を進めていく計画です。 例えば、設計段階でのBIMの活用により、さらなる工期短縮に繋げていくといった計画にも、既に着手しています。 もちろんレブロの幅広い活用も含めて、これまで以上に積極的なBIM活用に取り組んでいきたいですね」と話し、締めくくった。

PDFファイル(1.1MB)

CORPORATE PROFILE

株式会社百音設計

本社 東京都渋谷区松濤1-16-12
代表者 代表取締役  伊藤 春美
資本金 1000万円(2014年3月現在)
従業員数 30名(2014年3 月現在)
事業概要 建築・設備設計、設計・施工管理、トータルリメイク、人材派遣業他