レブロ活用事例

ベトナムが支える日本の BIM レブロによる施工 BIM の支援から、BIM-FM を 見据えたライフサイクルマネジメントへの取り組み

ベトナムのホーチミン市に本社を置くAUREOLE CONSTRUCTION SOFTWARE DEVELOPMENT INC.(以下 ACSD)は、空調設備工事のほか、情報システム、化学品の販売など多角的に事業を展開する三谷産業株式会社のグループ企業である。三谷産業の空調設備工事部門の一翼を担う同社は、2001年に日本人出向者2名、エンジニア9名の計11名で創業し、2003 年からは外部からの受注も開始。2004年にハノイ事務所設立、2007 年には日本支店設立と業務を拡張し、現在では建築設備のほか、住設、木造住宅などの部門を有す社員数300名の規模に成長を遂げている。同社設備部門が2008年から導入しているレブロの活用について、お話しを伺った。

三谷産業グループとして設立 ベトナムから日本の業務を支援

 「当社は、三谷産業の空調セグメントのベトナム子会社として設立されました。当初はベトナムからの三谷産業の業務サポートが目的で、主に設計積算業務、すなわちフロントで増えつつある業務の担い手として、日本ではなかなか実現できない仕事量とスピードをベトナムで実現するという役割がACSDにありました」。そう語るのは、同社の取締役で日本支店長を務める数野博義氏である。 「こうした背景でACSDが設立されましたが、設立当初はレブロがリリースされていませんでしたので、当時、設備専用CADはU/KITを採用していました。レブロ導入のきっかけは、主要取引先であったあるゼネコンがレブロを導入したことです。そのゼネコンからは、レブロのファーストリリース年である2008~2009年頃から業務依頼を受けています。

お客さまへの業務支援にいち早く対応したことと、これまで蓄積してきた実績により、三谷産業の取り組みにもレブロで貢献できていますし、業界でのレブロ普及も当社にとっては追い風です。この流れは一昨年くらいから強く感じています。また、マーケットのニーズがBIMに向いている結果として、私たちの仕事があると捉えています。ニーズを正しく認識し、風呂敷を広げるのではなく、業界の流れに上手くついていくことができるかが重要だと考えています」(数野氏)。
数野氏によると、2009年がBIM元年といわれているが、BIMが次のステップへ飛躍したと感じられたのが2016年だったという。BIM案件の相談件数が急増したのだ。特に大手の組織設計事務所やゼネコンの動きが顕著になったと数野氏はいう。

「まだまだ全件BIM対応を掲げていない企業が多い中で、大手がBIMに取り組んだことによる成果がないと、世の中が急速にトーンダウンする懸念があります。右肩上がりの仕事の多い状況の今は不安がありませんが、案件が減ったときの投資対効果が見えなければいけません。BIMについては、普及に向けての1ステップ、2ステップの山がまだあるだろうと予想しています。その山を越えるためにも、BIMの担い手として、ただ仕事をこなすのではなく、お客さまがBIMに取り組んだ結果としての成果がきちんと見える形の貢献をしたいと考えています」(数野氏)。

チームベトナムで挑む日本企業が求めるBIM

同社では、総勢300名超の現地技術者を抱えている。取引先の総数は90社にのぼり、定量的に50社との取引があるという。 その中でもサブコンである三谷産業のグループ会社ということもあり、設備に事業の基軸を置いている。 「現在、設備部門の技術者は、機械設備積算チーム、電気設備積算チーム、BIMチームの計約60名が在籍しています。 積算チームはCADを使用しないため、実際の作図・モデリングは、BIMチームが対応しています」。 そう説明してくれたのは、同社の設備部門を牽引するチームベトナムで 挑む日本企業が求めるBIM取締役 事業開発部長(高度化技術担当)のグエン・ハイ・アン氏と 機械設備統括部BIMモデリング部テクニカルリーダーのヴォ・ゴック・ミン・チャン氏である。
「BIMチームは、レブロとAutoCADの両方使えるよう教育しています。 担当する業務の内容によって、特にBIM案件はレブロを優先的に教育し、習得させています」(ミン・チャン氏)。
BIMチームには、20名ほどで構成するレブロ専属のチームがあり、レブロを習得した技術者が、BIM指定案件の業務を遂行しているという。
「私を含めU/KIT時代から引き続いてレブロを使用しているベテラン技術者が4名います。その4名が中心となって、若手へのレブロ教育を行っているのです。 BIMチームは5チーム編成で、それぞれにリーダーを配し、プロジェクトの遂行はもちろん、若手の育成の役割を担ってもらっています」(ハイ・アン氏)。 BIM 指定案件は主にレブロで取り組んでいる同社であるが、取引先のニーズに応じたCADを使用するケースもあるという。
「他の設備CADを使用する場合もありますが、操作性が良く、配管材料や機器などの部材が豊富なレブロがとても使いやすいと感じ、気に入っています」(ミン・チャン氏)。

 

「また、同社では、レブロを設計、積算、施工の各フェーズで運用しているが、現在、FM段階での利用を見据えた検証を開始している。「設計から施工までのBIMについては、すでにレブロで対応ができています。次のニーズを見据えて、FMでのBIM活用を意識し、レブロで何ができるかを探っている状況です。スタッフに対しても、FMでのBIM活用に関する教育を開始しています。今後の課題は、属性情報の何をどこまで入力するかなどの社内ルールの整備ですね。レブロには、FMでも活用できる機能の実装を期待しています」(ハイ・アン氏)。

次世代BIMへの取り組みより高まる顧客ニーズへの対応

「今後は、年度内に設備部門で10名くらいの増員を考えています。技術者が多いことに越したことはないですし、むしろまだまだ足りない状況と感じていますが、技術者の育成とお客さまの求める技術レベルとのバランスを考慮しなければなりません。すぐに風呂敷は広げられないけれども、できる限りのご期待には応えていきたいという思いで取り組んでいます。今回の取材に対応してくれたハイ・アン氏やミン・チャン氏らのリーダーが、技術者の底上げをし、彼らと同じレベルの技術者をどれだけ育成できるかが、これからの重要なテーマだと捉えています。そういった意味では、今後の需要が増えてくるのかを心配するよりも、その需要に対する供給をいかに満たせるかが課題になってくるでしょう。それを踏まえて、将来的には、BIMマネージャーやBIMコンサルタントのような人材も育成していきたいと考えています。これまでの受け身のお仕事ではなくて、提案型に進化させていきたいのです。そのために技術者への教育体系の整備も進めており、三谷産業による現地教育の第一段階が終了しています。3ヵ月を一つのサイクルとして、サブコンとしての施工要素を踏まえた設備知識の基本教育を実施しました。今後は、新人技術者への基礎教育の反復はもちろんですが、次のステップアップ教育も順次進める方針です。一方、日本支店では請負いを補完する形態で派遣業登録を済ませました。
いずれはベトナム人技術者を来日させ、請負いの受注を前提とした派遣技術者の紹介を新たに開始する予定です。コスト面の課題はあるかもしれませんが、単なるCADオペレーターの派遣ではなく、専門技術者の派遣により、中長期スパンでのお客さまの作図・モデリング業務の支援という点で差別化を図りたい考えです」(数野氏)。そうした背景の中、3Dレーザースキャナーと点群データの活用といった、これまでのBIMとは違う新たなニーズも出始めていると数野氏は語る。

「三谷産業から3Dレーザースキャナーを検証したいという要望があり、それに協力する形で取り組みを始めています。点群データからレブロでのモデル化まで、実際に作成している案件もあります。ただ、3Dレーザースキャナーをまだ導入している訳ではありませんし、現状はあくまでも三谷産業の業務支援という範囲にとどめています。マンパワーの必要な業務ですし、フィーも見えない領域なので、今後のニーズを見極めながら技術者の育成と体制づくりを検討したいと考えています。
当社には、建築部門もありますので、点群データの活用以外にも、プロダクト(製品)BIM の需要が大きくなってくるものとみています。メーカーでもBIM対応の動きがあり、自社製品のBIM化はメーカー各社の課題です。それらのニーズへの対応も当然必要になってくるでしょう」。数野氏は、今後増加するであろうBIMのニーズに取り組み、お客さまの期待に応えていきたいと話す。その一方で、今後ベトナムで日本の業務を請負う同業他社が多数出てくることが想定されるという。時には競争し、時には協力しながら、業界の発展に寄与していきたい考えだ。
「今後の課題としては、BIMの仕事量について、見える化、指標化ができていないことが挙げられます。その要因としては、どこまで属性情報を入力するか、モデル入力のディテールをどうするかなどといった決め事がまだまだ不明瞭だからです。図面1枚いくら、平米単価いくらといった設定が、容易にできていないことがBIMを請負う立場の課題です。課題は見えていますので、実績を積み重ねつつ、見える化、指標化を進めていきたいと考えています。当社の強みは、親会社である三谷産業がサブコンであるため、その業務支援を通じて、技術力を吸収し、高められる点です。その一方で、ゼネコンとのお付き合いもありますので、グループ内外の経験を積むことによる相乗効果も期待できます。これは特に設備のBIMにおいて、同業他社にはない非常に恵まれた環境であると感じています。その中で、さらに差別化できる強みが、ベトナムだからこそのマンパワーや対応力、親会社がサブコンであることによる技術力です。
これらの強みでお客さまに貢献できることは、グループならではの総合力だと考えています。これからBIMに取り組みを始める企業にとっては、BIMの担い手不足の心配は不要になってきたといえるでしょう。お客さまと一緒になって取り組み、その期待に応えることが私たちの使命です。お困りの際は、ぜひ一度ご相談いただければと存じます」。

 

 

▶ PDFファイル(1.1MB)

CORPORATE PROFILE

AUREOLE CONSTRUCTION SOFTWARE DEVELOPMENT INC.

本社 22 Floor, AB Tower, 76 Le Lai Street,Dist 1, Ho Chi Minh City, Vietnam
代表者 取締役社長 三浦 秀平
資本金 85 万US ドル
従業員数 300 名(2017 年4 月現在)
事業概要

空調・衛生設備の設計図及び施工図作成、システムキッチン・ユニットバス・
洗面化粧台・システム収納等の納まり図作成、
各種施工図作成業務(躯体図、平面詳細図、天伏せ図、外装割付図等)、
山留壁等設計作業、木造住宅(2×4)構造図作成、
生産支援CAD ソフトによるプレカット図・パネル図作成、建築、
空調・衛生設備、電気設備、収納家具等の積算